Concept Library
GIAHS
GIAHS(世界農業遺産)
伝統的な農林水産業と、それに関わる文化・景観・生物多様性を一体として認定し、次世代への継承を図るFAOの国際制度。
Globally Important Agricultural Heritage Systems — FAO's initiative recognizing traditional farming systems of global significance.
→ 生業の継続が保全になる農林水産システムを国際的に可視化する制度
society
commons
structure
GIAHS(ジアス)とは
GIAHSは2002年にFAOが創設した認定制度で、近代化の中で失われつつある伝統的農林水産業システムを「地域システム」として一体的に保全・継承することを目的とする。2025年時点で29か国104地域が認定されており、日本は能登の里山里海(2011年)を皮切りに15地域が認定されている。
ユネスコ世界遺産との本質的な違いは、保護の対象にある。世界遺産が遺跡・建造物・自然地形という「不動産」を過去の姿のまま保存することを目的とするのに対し、GIAHSは「今も人々が生活を営み、進化し続けている農業システム」を評価する。変化を許容しながら維持・活用することが、認定の前提条件となっている。
認定基準は5つ——①食料と生計の保障、②農業生物多様性、③地域の伝統的知識システム、④文化・価値観・社会組織、⑤ランドスケープ・シースケープの特徴——であり、単なる農業技術の保存ではなく、自然・人間・文化の複合システムとして評価される。
GIAHSが示す本質は「保護区ではなく生業の継続による保全」である。農林漁業という日常的な行為が生物多様性を維持し、文化を継承するという逆説的な構造が、OECMの概念とも重なる。
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