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養老川流域 — 上流の森が下流の食を支える水と土の循環
千葉県を流れる養老川は清澄山系に源を発し、75kmを経て東京湾に注ぐ。上流の森林が水を蓄え、農地へ届け、直売所で食として消費者に届くという流域の資源循環が、この地域の農業と生態系を支えている。
01Context|背景
養老川は千葉県夷隅郡大多喜町の清澄山北東部を源とし、養老渓谷を形成しながら北上し、市原市を貫通して東京湾に注ぐ延長75km・流域面積245.9平方キロメートルの二級河川である(千葉県)。
最上流部は年平均降雨量2,000mmに達する多雨地帯であり、森林が水源涵養機能を担っている。
高滝ダム下流では取水施設36ヶ所、かんがい面積2,181ヘクタールの農業用水が取水されており、流域の農業生産を支えている。
市原市内では「いちはら里山ファーム」など里山の農産物を活かした直売所・体験農園が展開し、地元産食材の地産地消が根付いている。
チバニアン(地磁気逆転の地層)が養老川中流に位置し、地質的にも世界的に希少な流域である。
03Tension|トレードオフ
養老川中流では水質のBOD値が環境基準を達成できていない地点があり、農業排水・生活排水による水質悪化が課題となっている(市原市環境管理課)。
上流の森林管理の担い手不足・耕作放棄地の増加により、水源涵養機能の維持が困難になりつつある。
観光・体験農業の増加は地域経済を支える一方、過剰な利用による生態系への負荷も懸念される。
04Outcome|結果
養老川流域は「流域で食を支える」という循環モデルの具体的な実装例として機能している。
上流の森林→農業用水→農地→直売所という可視化された物質循環は、流域という単位が自然と社会を統合する空間であることを示している。
チバニアンという地質遺産を抱える流域として、自然・地質・農業・食文化が重なる複合的な価値が認識されつつある。